雑記・症例
思い出深い患者さん
先日、東洋学術出版社さんから注文していた本が届きました。
実はこの本、以前に購入しようとしたときは売り切れで買えなかったもので、中医学的な(中国伝統医学的)がんに対する考え、病気の成り立ち、鍼灸治療などについて書かれている本です。
←東洋学術出版社さんはいつもウットリするくらい綺麗にキチっと梱包されてます。
以下、一部引用させていただきます↓↓
がんの病因については西洋医学でも未解明な部分も多いが、中医学では長い歴史の中で、正気と邪気の闘争が、がんの発生・増殖・浸潤・転移に関係していると認識し、その病因と病機をまとめている。がんは他の病証と同じように、正気不足、七情失調などの内因、六淫の感受・環境汚染などの外因、不適切な食事・過労と運動不足などの不内外因から起こる。
私が鍼灸専門学校を卒業してすぐ、がんになった知人宅へ少しの間、往診をしていたことがありました。
当時まだ右も左も分からない私でしたが、鍼や灸、マッサージなど学校で習ってきたありとあらゆることをやっていました。
今となると、きちんと弁証論治(中医学における診断・治療法の決定)をして、的確な鍼灸ができたらよかったのにと思います。
この経験が、今の鍼灸の流派に入るきっかけの一つとなりました。
病態が悪化し入院、以降往診はなくなりましたが、知人からは癌の進行を止めたいという気持ち以上に、「一人でいたくない、誰かにいてほしい、話を聞いてほしい」という強い想いを感じ、私が帰らないようずっと引き止められていました。
一番は、不安な気持ちに寄り添ってくれる心が欲しかったのかと思います。
この本を手にしたとき、当時のことを思い出しました。
私なんかが「がんを治す」なんてとても言えませんが、
病院で検査・治療を受けながら、治療後の副作用、痛みの緩和などで鍼灸が支えになれたらと思いますし、辛い気持ちが少しでも晴れてくれたらと思います。